第17回 関西部会講演会(2022/12/16) 終了の挨拶/        会員限定コンテンツの公開

第17回関西部会講演会は、2022年12月16日(金)に、Social distanceを確保してAP大阪茶屋町 Gルームを講演会場とし、Teamsによる遠隔視聴を併用したハイブリッド形式で、多くの方にご参加を頂いて盛況に開催させて頂き無事終了致しました。心より御礼申し上げます。

今回は、IoTの社会実装を推進する IoT人材育成の取り組みや、カーボンニュートラルに向けた自動車産業の方向性、IBMのクラウドプラットフォーム の活用に向けた取り組みなど幅広い内容について、大学で研究をされておられる先生と企業でビジネス展開されておられる方にご講演をして頂きました

最初に講演1として、
日本アイ・ビー・エム株式会社 IBMコンサルティング事業部 HCS, Openshift&Middleware事業部 パートナー 佐藤 卓由 様に【OpenShift/コンテナの活用例のご紹介】のテーマでご講演頂きました。最初にIBMがOpenShiftに注力している背景として、ハイブリッド・クラウド戦略として展開しているRed Hat社の独自性を維持したRed Hat社のOpenShiftを要としたIBMのケイパビリティーを統合したハイブリッド・クラウドについて紹介して頂き、次に、コンテナ化を推進している理由として、要であるOpenShiftの特徴や導入事例としてIBMが考えるDX実現のための成熟度レベルやコンテナ化の対象決定に求められる要素(技術適合性、業務特性、開発・運用プロセスの変革)、高いデリバリーパフォーマンスを実現するコンテナとしてOpenShiftが使われるケースや、顧客向けのWeb/モバイルアプリケーション向けから今後は業務特化型システムやIoTアプリケーションにも領域が拡大していく可能性についても紹介して頂いた。最後に、今後活用が期待されているIoT・AIや機械学習でのコンテナ活用事例として、RHEL(Red Hat Enterprise Linux)とOpenShiftを活用してコンテナでパッケージ化して複雑な依存関係を閉じ込めて迅速な開発を実現した内容や、エッジの複雑化する要件に対処してコアアプリ開発に注力できるフルスタック基盤の提供、またOpenShiftが宇宙へ進出したNASA-ISSの事例や、工場フロア予測保全、スマートシティ-グリーンシティなど、またDevOps をサポートする様々な機能を標準搭載した内容など活用事例やAL/ML領域におけるオープンソースコミュニティプロジェクトによる活用推進体制、支援サービス内容について、最新のIBMのハイブリッド・クラウド戦略とその具体的内容や事例について幅広い内容をご講演頂きました。

次に講演2として、
株式会社SOKEN エグゼクティブフェロー 日本自動車部品工業会 技術顧問 古野 志健男 様に【カーボンニュートラルに向けた自動車産業の方向性】のテーマでご講演頂きました。最初にカーボンニュートラル(CN:Carbon Neutral)に向けた自動車産業の潮流と最新OEM戦略については、CO2/排気規制強化、各国CN宣言で電動車(BEV)義務化、欧州グリーンディール包括法案:Fit for 55 Packageや加州 ACCⅡ「Advanced Clean Cars II」などの規制などがある。また車両メーカーからは、トヨタの全方位戦略やホンダの生存戦略、日産の差別化戦略、VWの経営見直し戦略、BMWの2本立て戦略、Mercedes-BenzのラグジュアリーBEVオンリー戦略、Tesraの世界乗っ取り戦略などがあることをご紹介頂いた。電動車の最新動向と方向性については、電動車のコア技術(三種の神器:Motor、Battery、PCU(Inverter))や2020~21年に発売された代表的なPHEVやBEV、PHEV車として三菱アウトランダーやBEV車として日産サクラ/三菱eKクロスをご紹介頂いた。また世界の電動車(PHEV、BEV)シェアの推移や最新予測、中国市場でのNEV販売台数の伸び、各社のBEV&バッテリー内製化への投資が莫大であり、収益は担保できるなどのBEVの課題、電池生産計画の爆発とレアメタルの供給不足などの課題や期待されている全固体電池の種類と課題についてもご紹介頂いた。燃料電池車の最新動向と課題は、燃料電池のしくみやBMW、Hyundaiの最新燃料電池車、米トラックBEV企業 NikolaのFC戦略などがある。CN燃料の必要性と動向について、その課題や日本でのe-fuel(Electrofuels)価格のケーススタディ、米国DoEの水素エネルギー戦略、世界のe-fuelプロジェクトの最新動向などについてご紹介頂いた。最後に、持続可能なパワートレインについて、エンジンは存続するが、比率は減少して電動化に最適な姿としてDHE(Dedicated Hybrid Engine)に進化していく将来に向けたパワートレインの方向性など、最新のカーボンニュートラルに向けた世界の自動車産業の現状や今後の動向について幅広い内容をご講演頂きました。

次に講演3として、
福井工業大学 AI&IoTセンター・経営情報学科 教授 情報メディアセンター長 北上 眞二 様に【IoTによる災害レジリエンス(Disaster Resilience)向上とIoT人材育成の取り組み】のテーマでご講演頂きました。最初に北上研究室における IoT普及拡大に向けた取り組まれている環境IoTの内容について、福井県の降雨量の変動による発生している「豪雨」と「干ばつ」の雨の水害対策に着目した研究の災害順応力を高めるための流域環境データ収集活用システムと雨水資源化と内水氾濫緩和を両立させる雨水利用クラウドシステムについてご紹介頂いた。流域環境データ収集活用システムでは、流域全体に大量に配置するための小型IoTセンサーノードを開発し、免許不要で双方向通信が可能なLoRaを採用し、SORACOM IoTデータ通信サービスを活用して構築した環境データ収集ネットワークで収集した流域環境データを利活用するために整備した環境データ連携活用基盤や、また環境データ連携活用基盤は多数の都市や企業でスマートシティを実現するシステムに活用されているFIWARE (Future Internet WARE)を採用して整備した内容や、雨水利用クラウドシステムについては、4つのサービス(遠隔貯水監視・制御サービス、オープンデータ連携サービス、タンク貯水最適化サービス、運用監視サービス)を提供して、雨水タンクの導入と運用コストの低減、スモールスタートによる運用開始と段階的なスケールアップ、容易な地域の防災・減災システムとのデータ連携が実現でき、現在LPWAを活用した中小河川水位監視の実証実験中の内容について、ご紹介して頂いた。次に、IoTを利活用できる人材育成について、大学オープンキャンパスや大学祭などで開催しAI/IoTの啓蒙活動をしている小中高生向けAI/IoT体験ラボや、実際に動作するIoTシステムの開発に取り組むことにより、IoTの仕組みを理解し、IoT利活用アイデアの創出を促す大学/高専向けIoTプロトタイプ開発実習(PBL)、企業技術者向けIoTリカレント教育の内容をご紹介頂いた。また、福井工業大学の笠井研究室が雨水活用の普及に向けて取り組まれているあまみず飲料化プロジェクト2021の成果である「雨水100% 国内初である:あまみずソーダ」をご持参頂き会場参加者に配布して頂いた。福井工業大学が取り組まれているIoT普及拡大に向けた取り組まれているIoT活用研究とIoT 人材育成について、具体的に幅広い内容をご講演頂きました。

また、最初に関西部会長の西村から講演会開催の挨拶をさせて頂き、最後に関西部会の山崎副部会長から講演会終了の挨拶にて締めくくり、盛大に開催を終えることができました。

講演会の開催に際しましては多くの方々のご協力を得て開催させて頂くことができました。真に有難うございました。深く御礼申し上げます。
引き続きM2M/IoTに関する最新事例・技術研究を進めて応用ビジネスの発掘・展開に繋がり、関西地区の活性化に少しでも貢献できるように活動を進めさせて頂きますので、ご協力・ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。


なお、会員向けに会員限定コンテンツとして、本講演会の講演資料を公開しました。
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2022年12月20日 NPO法人 M2M・IoT研究会 関西部会長 西村 雄二

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